ドミナリア・シールド Mike Sigirist [翻訳]

著者
Mike Sigirist / Team Channell Fireball

経歴
2014年シーズンプレイヤーオブザイヤー
リミテッドGP優勝2回
PTマジックオリジン準優勝
PTタルキール覇王譚ベスト4
PTイクサランベスト8 他多数


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原文 "Dominaria Sealed"
https://www.channelfireball.com/articles/dominaria-sealed/
2018年4月26日


まだまだこのシールド環境をマスターしたとは言えないが、シールドリーグを10回こなし、この環境を大いに楽しんでいる。
GPダラスまで残すは数週間。現段階において、私がドミナリア・シールドについて学んだことを共有しよう。


速度

既に遊んでみた人はお分かりかもしれないが、ドミナリア・シールドは通常のシールド環境よりもゲーム展開が低速である。相手のアタックはそこまで難しい判断を迫られることなくブロックできる。ほとんどの2マナクリーチャーは1体の2/3で完封できる(最低でもトレード可能)。このことは、これまでのセットよりも3マナ2/3に価値があることを意味しており、私もそれらを採用することに抵抗はない。

私は過去に多くのシールド環境をプレイしてきており、その引き出しをもとに、各シールド環境の速度に自分のプレイ感覚を調整している。ドミナリアシールドにおいてもっとも大きかった認識調整のポイントは、「ゲーム展開が遅く、除去をかなり温存できる」というものだ。
ゲーム展開が早い環境は2マナクリーチャーが3マナ・4マナのクリーチャーとトレードできるほど強力で、対戦相手が軽量クリーチャーを軽い除去やコンバットトリックでバックアップすれば一瞬でゲームが終わってしまうが、ドミナリアはその限りではない。

ドミナリア・シールドでは3マナ2/3が2マナクリーチャーを安全にキャッチできるため、より簡単にアグレッシブ戦略を否定できる。例えば、先手2ターン目をパスしたところ、相手が2マナ2/2をプレイしてきたとする。エンド時に《不純な捧げもの》でその2/2を除去できるとしても、3ターン目以降にプレイするカードで2/2を止められるのであれば、私は《捧げもの》を温存する。
このフォーマットでは、《メサ・ユニコーン》に除去を使ってて除去が尽き、マナカーブトップの《セラの天使》を除去できなくて負けるような展開に陥りやすい。

ゲーム展開が遅ければ、デッキのマナカーブを高めに設定することも可能だ。2マナクリーチャーの枚数をしっかり確保することはそこまで重要ではない。2マナ2/2をプレイして、それが3マナ2/3に簡単に否定されてしまえば、このフォーマットでは深刻なカード損だ。
もし2マナクリーチャーがいなくても、3マナ2/3が何枚かいれば、問題はないと思われる。つまるところ、ただマナカーブの穴埋めとして2マナ2/2を採用してはいけない。2マナ2/2を採用するのは、テンポよく勝ちたいアグレッシブなデッキか、相手の2マナ2/2をブロックできる3マナ2/3がいないときだ。

キッカーを持つカードは、なるべくキッカーコストでプレイしたい。低速環境では、ほとんど全てのゲームが消耗戦になる。《縄張りもちのアロサウルス》のようなカードは、それが地上戦のこう着を打破できるか、即座に除去されないと言い切れる時以外は我慢強く握っているべきだ。
この環境はコモンの除去で溢れている。1:2交換を続けていき、ついに相手が処理できないクリーチャーをプレイして勝つ。このゲーム感が大事だ。


パワーカードこそ重要

どれだけ強いカードを使っているかがこの環境のカギだ。ゲームが長引きテンポは重要ではなくなるので、ゲームの勝敗は「あなたの呪文が強力かどうか」という一点に帰結する。これこそキッカーカードをキッカーできるまで我慢すべき理由だ。
3ターン目《クローサのドルイド》は、それが守ってくれるライフの量を考えればキッカーコストを無料で払ったも同然だ。しかし、《カリゴの皮魔女》を何もない戦場にプレイしてはいけない。ブロックする何かがいなければ、バニラの1/3をプレイしてはいけない。
重いキッカーコストを持っているカードは多いため、ゲーム後半でも相手が手札に何かを潜ませていることは多い。《皮魔女》はそういった呪文を刈り取るために存在するのだ。

パワーカードが重要な環境では、あなたが思っている以上の頻度でタッチカラーを採用すべきだ。私の場合、いくつかの白ベースのアグレッシブなデッキは2色でまとめたが、その他の遅めのデッキではほぼ必ず3色目以降をタッチした。これほど強力な多色カードが多い環境では、3色目無しで済ませることは不可能と言っても良い。
一方で、3色目を容易にするマナフィックス事情は良くはない。デッキのカードがとても強い場合を除いて、《航海士のコンパス》のようなカードはなるべく使いたくはない。
マナフィックスが弱いなら、ただタッチカラーの土地を追加で入れれば良い。実際、この環境の私のデッキはほとんどいつも土地18枚だ。この枚数があれば、充分な色マナ源を確保しつつ大量の重い呪文を使用できる。

何を何枚タッチするかの判断は、「適度」よりも「欲張り気味」を目安にしたほうが良いかもしれない。私の場合、8/7/3というマナベースで3色目のカードを1~3枚とるケースが頻繁にある。《灰からの成長》や《金粉の水蓮》などがあれば、異なる2色のカード(例えば《ボーラスの手中》と《刃の翼ヴェリックス》)を同時にタッチしたりもする。ほとんどの場合ゲームが長引くため、これらのカードもゲームの途中でいつか使用できるようになる。


先手?後手?

ドミナリア・シールドにおいて、この問は頻繁に尋ねられるものだ。概して人々は先手を取ることに慣れ親しんでいる。実際先手を取ることが間違いであるシチュエーションはあまりないため、基本の選択として先手を取るスタンスは悪くない。
ではこの環境ではどうかというと、人々は逆の間違いを犯しがちであるように思う。この環境で後手を取ることは理に適っているが、後手を取れるデッキかどうかをまず確認する必要はある。

第一に、あなたのデッキに充分な量の除去がなければならない。相手のカードに干渉する手段が少ないのであれば、後手を取るべきではない。毎ターン土地を置きつつ、同時に除去などのリアクションカードを引き増したいのであれば、後手を取る。
使うカードの多くがリアクションカードではなく相手に対応を迫るカードであれば、先手を取り先に攻勢に出たほうが良い。後手を取るには軽い除去があればあるだけ良い。私の一つの基準としては、後手を取るときは少なくとも4~5枚の軽い除去がある。

ではあなたのデッキに充分な除去があるとして、そのデッキのマナカーブはどうだろうか。もし軽量クリーチャーから展開し、相手をそのまま殴り倒そうと考えているなら、絶対に先手を取るべきだ。マナカーブが低めのアグレッシブなデッキは後手を選んではいけない。
マナカーブ高めのミッドレンジやコントロールであれば、ある程度の頻度で後手を選んでいる。後手を選ぶべきか悩んだときに、50%くらいは実際に後手を選んでいる。他の環境と比べれば、これはかなり高い数字だ。

相手のデッキと対戦して、序盤からラッシュをしかけてこないとわかった場合には、あなたのデッキに充分なリアクションカードが無いとしても、後手を選ぶことはますます合理的である。


アーティファクト・エンチャント除去

この環境はアーティファクトとエンチャントで溢れかえっている。強力な英雄譚や《氷の干渉器》のようなカードを誰もが使っている。そのため、私は帰化系のカードを1枚はデッキに入れたいと考えているし、アーティファクトやエンチャントに触れる手段が他にもあればもっと良いとも考えている。
例えば、デッキに《焦熱の仲介》が1~2枚入っている場合でも、《壊れた絆》はためらいなく1枚採用する。
既に《壊れた絆》を1枚採用している場合でも、プレイアブルカードが少ないプールでは、2枚目の採用も検討する。しかし、2枚目はなるべくなら採用したくないものだ。2枚の無駄ドローは多くの場合敗北の原因となる。
相手が絶対に破壊すべき何かを使ってくる場合には、喜んで2枚目をサイドインするし、3枚目も検討していいだろう。


ドローカード

この環境において、ドロースペルなどのアドバンテージカードは素晴らしい。《予言》や《闇の取引》をデッキから外すことは絶対にないし、《魂の回収》ですらよく採用している。この環境は除去が多く、ボムで決まるようなゲーム以外はどちらが多くの呪文を効果的に唱えたかが焦点となる。つまり、どんな形であれアドバンテージを生み出すカードは良い働きをする。
しかし、もしデッキのマナカーブが非常に高めで強力なカードも多ければ、手数を増やす手段である《魂回収》の必要性は薄れるかもしれない。


装備品とオーラ

《セラからの翼》以外の強化系オーラはプレイしない。《秘儀の翼》はアグレッシブなデッキにおいて面白い働きをするが、除去で溢れかえっているこの環境で1:2交換のタネは早々作りたくないものだ。
装備品については、特にコモンのものに関しては、あなたが序盤から頻繁に攻勢に出ないのであれば良いカードとは言えない。《馬上槍》は攻勢に出ている限りでは良いカードで、2/2や小型飛行クリーチャーが大きなブロッカーに突撃するきっかけを与えてくれる。しかし《小剣》はどうにもインパクトに欠ける。あなたのデッキが攻撃的でない限りは、サイドに控えさせるべきだ。
一方でレアの装備品はどれもこれも強い。引けばデッキに入るものだ。


除去

シールドにおいて除去は重要であり続ける。強力な伝説のクリーチャーが多いドミナリアでは、除去はことさら重要だ。ドミナリアはプレイアブルなアーティファクトが多く、その点では自由にメインカラーを選びやすい。カード不足にならない範囲で、強力なボムと除去がある色をメインに据えると良い。
メインカラーと色が合う除去が何もない?それなら何かタッチしよう。除去が少ないと思うなら、2色デッキにマナフィックス1枚と《臓腑抜き》や《祝福の光》をタッチするのは悪くない。対戦相手は1枚でゲームを決められるようなボムを何枚も持っている。除去は使えるだけ使おう。


飛行は重要

この環境は地上戦のこう着が非常に多い。地上は苗木と小粒クリーチャーで溢れ、大型クリーチャーにはトランプルがない。20/20で攻撃し、1点のライフも削れない歯がゆさを何度味わったことか。《巨大な戦慄大口》を恋しく思う日が来るとは思わなかったが、ドミナリアはまさにそういった環境だ。
このことが意味するのは、飛行クリーチャーの重要さだ。《エイスサーの滑空機》は見た感じなんとも頼りないが、地上戦の硬直を後目にライフを削り取る良い手段である。デッキにいれるのをためらってはいけない。
ボムがそれ1枚でゲームを終わらせられない場合、飛行クリーチャーで相手のライフを減らせると良い。これは私の気付きだが、ゲームが終わった時のテーブルを見ると、だいたい勝った側には盤面で一番大きい飛行クリーチャーがいる。

あなたのデッキが地上クリーチャーで溢れている場合、相手の飛行クリーチャーの対策は何かしら用意すべきだ。メインデッキの22~23枚目として《空を射抜く》を検討してもいいだろう。基本的にゲームは長引くので、相手のデッキに飛行が数枚しかいない場合でも、結局は射抜く対象を見つけられる。


コンバットトリック

シールドはドラフトのような攻撃的なデッキを組み辛く、マナカーブも整え辛いため、コンバットトリックは基本的に微妙だ。
ドミナリア・シールドにおいてこれは特に顕著である。ほとんどのクリーチャーがサイズ控え目なうえ、最終的に重要なクリーチャーはそれ1枚で支配的なサイズや能力を持つものなので、局所的な序盤・中盤の戦闘で勝つことに大きな意味が無いことが多い。2/2を3/3に突っ込ませ、トリックを使って打ち取ったとしても、次のターンに相手はさらに大きいクリーチャーをプレイするだろう。痩せた戦闘を続けても、《クローサのドルイド》をキッカーされて負けるだけだ。

あなたがアンラッキーで貧弱なカードプールに巡り合った場合、例えちぐはぐでも攻撃的なデッキを組まなければならないかもしれない。トリックはそういう時に使うかもしれないが、私はどんなに弱いカードプールでも竹槍のようなアグロデッキはなるべく避け、数少ないパワーカードを生かす方向で考えるようにしている。

このとおり私は基本的にコンバットトリックを使わないが、《黎明をもたらすもの、ライラ》のように除去から守価値があるクリーチャーがいれば、プロテクションスペル兼コンバットトリックとして《不屈の意志》を使うかもしれない。他のトリックは、よっぽどのアグロデッキが組めなければメインデッキでは使わないだろう。(この環境では、そのようなデッキになることは非常に稀だ。)


以上が私のドミナリアシールド雑感である。
ドミナリアシールドはエキサイティングで面白いが、最終的な成績はカードプールの良し悪しに強く影響されがちだろう。
私はプロツアーに向けてドラフトの練習を始めるが、GPダラスではシールドを楽しむつもりだよ!See you!


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あわせてどうぞ↓

私が理解したドミナリア・シールドのすべて Paulo Vitor Damo da Rosa [翻訳] - thoughtlace