MO株で牛丼を食え

 

お盆休みで時間があるので兼ねてから書こうと思っていたことを色々書いていきます。
一つはいわゆるMO株のハウツー的な何か。

 

MO株は宇宙一面白いゲームであるところのMagic the Gatheringをオンラインで遊べる奇跡の業ことMagic Online(Wizards of the Coastさんいつもありがとう)の遊び方の一つで、カードを売り買いしてゲーム内通貨「チケット(ticket/tix/チケ)」を稼ぐというものです。

MO株をする動機は色々あると思います。僕は課金せずに無限にリミテッドするためのMO上の副収入としてやっています。7月はこれで194チケ増えて、ようやくニューカペナで負った傷が癒えました。円安でできれば課金はしたくない状況なので助かっています。

 

 

雑な切り抜きですが収支はこんな感じでエクセルにまとめています。ぶっちゃけ今はドラフトで3-0するよりトレードで10チケ稼ぐほうが気持ちよくて本末転倒です。

というわけでマジックをせずに細々とチケットを増やすための僕の実践を色々書き散らかしていきます。なお投資とか経済の勉強はしたことがないのでかなり間違ったことも言っていると思います。自己責任で。

 

カード売買の主体

 

誰が売ったり買ったりしているのかを確認しておきます。プレイヤーbot業者です。

 

〇プレイヤー

例えば僕です。リミテッドでパックを剥いたり、チェストを開けたり、プレミアイベントでコンプセットをもらったりして各カードの流通量を増やす存在です。同時に、構築戦で使ったりMO株のためにカードを買う存在でもあります。ソースは無いですが、みんな構築戦で使うために買ったカードはあまり手放さない傾向にあると思います。そのため、人気のフォーマットでよく使われているカードはどんどん値段が上がっていきます。

 

bot業者

プレイヤー同士のトレードの仲介役で、WotCとは無関係の業者です。プレイヤー同士の直接的なトレードは昨今では珍しくて、今プレイヤーは基本的にカードを入手したらbotに売っています。カードを買うときもbotから買います。この時botは、例えば1.5チケで買い取ったカードを2チケで売るなどして利益を得ています。

というわけで、プレイヤーがMO株でチケットを増やすには、その逆をする――つまり、例えばbot業者から1.5チケで買ったカードを後日bot業者に2チケで売る、というようなことをするわけです。bot業者の興味深い性質について箇条書きします。

 

  • bot業者がカードの供給量を増やすことがあるのかはわかりません。少なくともチェストはPPが腐るため剥いていないと思います。チェストを月給扱いにしてストリーマーとスポンサー契約しているbotもいました。
  • 今一部のbot業者はカードレンタルサービスをやっていて、これがカードの価格をめちゃくちゃにする日があります。あとで触れます。
  • bot業者は1度のトレードで1種類のカードにつき4枚ずつしか買いません。1000枚持ってるカードAをbotに全部売るのは時間かかりすぎワロタで非現実的です。しかもbotは同じカードを買うたびに買値を自動的に下げてきます。一定量買いとると「今日はもうこのカード買えないよ」と自動的に応答するようになっているbotもいます。つまり買占めは倫理的にどうという話を持ち出すまでもなくbot取引に向かない手法です。僕は売り捌く労を考えて同じカードは買っても8枚にしています。
  • bot最大手のGoatbotsの価格になぜか連動している、Goatbotsと無関係(と思われる)のbotもいます。Goatbotsのホームページから価格をスクレイピングしているのかもしれません。なるべく独立した価格体系をもっているbotと取引した方がいいです。おすすめはあとで触れます。

 

カードの流通量の話をするとき、もう一つ忘れちゃいけない存在がいます。WotCです。WotCもカードの価格をめちゃくちゃにする日が結構というかたくさんあります。

 

 

《Kappa Cannoneer》の供給が全然足りなくて100チケ到達したときは、臨時のチェストアップデートでKappaの封入率を倍にしたりしました。もっと最近だと、Pauper Format Panelの申し入れを受けて、供給が足りてなかったバルダーズゲートのコモンを無料配布したりしました。
WotCがセカンドマーケットを監視しているのは紙でも同じことですが、こんな風にMOの場合はかなりドラスティックな方法で介入もしてきます。基本的な手法はチェストアップデートとフラッシュバックドラフトの企画です。そのほかマスターズセット発売、禁止改訂、バグによる実質的な使用制限など。
トレード目当てで一部のカードを買うときはこういったリスクがあると心得ておきたいところです。

 

トレジャーチェストについて

 

カードの価格変動で特に気を付けたいのがチェストアップデートです。チェストは新しいカードセットがリリースされるたびにアップデートされます。すなわち、3か月おきくらいのペースで中身がガラリと変わります。今20チケで買ったカードが次のチェストアップデートで10チケになることもあります。チェストに封入されたり封入率が上がることで、単純に供給が増えるからです。チェストアップデートが近い時はあんまり高いカードを買わないほうがいいです。
ただ、今高いカードがチェストに封入されなくてもっと高くなることもあります。このへんはWotC様のさじ加減なのでプレイヤー目線ではギャンブルです。

Magic Online Treasure Chest Information | MAGIC: THE GATHERING

チェストの中身情報はこちら。

https://www.goatbots.com/card/treasure-chest-booster

チェスト自体の価格情報はこちら。

チェストの売値よりEV(Estimated Value/開封期待値)が高い時や、前記したKappaのような大当たりがある時はプレイヤーによってかなり剥かれている印象です。実際ガチャなので剥くのは楽しいです。PPはシールドしたりFormat Challengeに出れば一瞬でなくなります。

 

 

MO株で牛丼を食え

 

その昔ある人が言いました。MO株は牛丼一杯食べられるくらいがちょうどいい。
蓋し名言。カードを買って、売って、4チケ稼ぐ。この積み重ねがMO株の真髄だと思います。MO株で家を建てたい方はごめんなさい。どうすればいいかわかりません。たぶんマジック強くなった方が早いです。
ともあれどのようにして4チケ拾うか、僕の実践は次の通りです。

 

使われるカードを買え

 

使われるカードを買っておく。当たり前ですがー!という声が聞こえてきそうですので、もう一歩踏み込みます。各構築フォーマットの性質に応じて使われるカードを買うということです。ここで「使われる」は、「今後使われる」「現に使われているけど今後も使われる」程度の意味合いとします。

主な構築フォーマットとして僕が認識しているのはスタンダード・パイオニア・モダン・レガシー・ヴィンテージ・パウパー・統率者です。MOでは色々なフォーマットが遊べますが、その人口比はいびつです。

 

 

◆スタンダード

Magic Arenaでも遊べるフォーマットです。MOでスタンダードをやっている人は本当に少ないです。
レギュラー(あの人いつもいる......系の人)はEVの良いFormat Challengeに可能な限り出るためMOでスタンダードをやります。グラインダーはMOCSやプロツアーに出たいのでアリーナでもMOでもスタンダードをやります。エンジョイ勢はアリーナでスタンダードをやります。なのでMOのスタンダードは殺伐としたフォーマットです。義務としてやる人が多い印象です。

スタンダードのカードは主として最新セットのリミテッドによって供給されるわけですが、最新セットのリミテッドがこれまたアリーナで遊べる都合上、MOでの供給はそこまで多くなりません。環境初期において4枚使われるような神話レアは、供給の足りなさも相まってとても高くなります。

 

 

《ラフィーン》は環境初期に騒がれた神話レアで、発売の一週間後くらいには瞬間的に30チケくらいまで上がりました。瞬間的すぎてGoatbotsのチャートには記録が残っていません。
MOでのいわゆるイナゴタワーの形成にはbot業者が関与しています。レンタルサービスをやっているbotは自社サービスのために市場から神話レアを買い上げているらしいです。bot業者が雑に買い占めるのを待ってからドラフトで引いたものをドサっと売るという人もいると思います。瞬間的に高騰してすぐ下がるのはそのせいじゃないかなと思っています。

 

 

ちなみに、カードが瞬間的に高騰しているときbotは買取をしたがりません。botの売値と買値の差が開きます。例えばラフィーンがGoatbotsで売値30チケのとき、買値は20チケでした。直後の暴落に備えているのだと思います。

 

ラフィーンは今も4枚使われる神話レアっぽいですが、ニューカペナがある程度剥かれて現状2チケとかです。あんまりスタンやる人がいないからでしょう。レンタル業者も旬が過ぎたら余剰分は放出とかしてそうです。
総じてスタンダードのカードの価格は時期によってかなり左右されるように思います。環境初期と、義務的にやる人が増えるPTQシーズン前にサクっと牛丼を食べると良いと思います。
ただ環境初期に使われるカードを見極めるのは難しいです。配信やTwitterで情報収集するのは一つの手だと思います。僕は世界の上手いマンたちをTwitterのリストにいれて情報収集しています。Challenge勝った!とかGoldfish等に載る前にツイートしてくれるので、そのデッキの主要レアを買っておくと牛丼になったりならなかったりします。

 

 

◆パイオニア・モダン

アリーナでは遊べないフォーマットで、フォーマット人口的には二大巨頭です。僕の認識ではモダンの方が多いですが、パイオニアもかなり増えているようです。

素直にメタゲームによってカードの価格が上がったり下がったりする印象です。デッキ一つが高いので、都度売り買いして違うデッキを試している人も比較的多そうです。

各カードのだいたいの相場を覚えておけば、GoatbotsのTrendingを見てたまたま安いときに買ったりすることができます。特に土地は壊滅的な値崩れもなく、牛丼を食べるという目的においては優れています。個人的にパイオニア・モダンのカードは買うときにいくらで売ろうと決めておいて、後日その値段になったら機械的に売るようにしています。

 

チェストアップデートやファントムでないフラッシュバックドラフトもこの2フォーマットを主なターゲットとして行われます。

 

 

Jul 2022の辺りではMO20周年イベントでMH1/MH2が剥かれまくりました。コレクションの相場崩壊を恐れてイベント期間だけ普段使わないレアを手放していた人もいると思います。現在は20周年イベント終了でMH1/MH2の供給が止まり、セット全体ではイベント前の水準ちょいしたくらいまで価格が戻りました。

フラッシュバックドラフトでも同様のことが起きます。例えば3テフェやAFRの赤ミシュラは最近フラッシュバックドラフトで大きく価格変動していました。
今後開催されるフラッシュバックドラフトMagic Online Weekly Announcementsを見ればわかります。Weekly Announcementsは毎週火曜日(日本時間では水曜)に更新されます。「フラッシュバックドラフトをやる」という告知だけで一部のカードはすぐ値段が下がり始めたりするので面白いです。
日本語化してくれてる方もいます→ eiseal|note

 

余談ですがモダンはMOの中心街なので、MOサービス終了疑惑などの要因でもカードがゴリっと安くなったりします。最近MOの開発はWotCからDaybreakという会社に引き継がれましたが、抜本的な改革を検討しているようで今後何があるかわかりません。現物化終了、サブスク常設化などとなればカード相場への影響はでかいと思います。

 

 

◆レガシー・パウパー

スタンダードより人が多く、パイオニア・モダンよりは少ないという立ち位置です。WotCがバランス維持を放棄している感じなのでメタが偏りやすく、一部のカードだけが突出して高くなりやすい印象です。自分で遊んでいれば価格変動に対応できるフォーマットだと思います。特にパウパーはデッキが安く、コレクションのほとんどをトレードに回せるという点で牛丼を食べるのにハマってしまった方にはおすすめです。

 

 

XM2の速槍コモン落ちで特にPauper Leagueでは赤単果敢/バーンがゴキブリのように増えました。青ブラの値段もうなぎ上りです。PauperがMOCS Season 2のフォーマットだったため、義務的にやる人が増えていたという事情もあると思います。MOCS SeasonについてもWeekly Announcementsを読みましょう。

 

 

◆ヴィンテージ・統率者戦

正直よくわからないところです。ことヴィンテージについては、スタンダード並に人少なめです。Vintage Leagueは人少なすぎてまた悪質なウィントレード業者の巣窟となっているようです。
Power 9あたりはチェストに封入されなくなると値段が上がりますが、botが1枚ずつしか売り買いしてくれないので手間がかかり牛丼には不向きです。

 

 

一部の統率戦用カードは独特の値動きをします。チェスト供給があるかないかなのでしょうが、僕はよくわからないので買わないようにしています。

 

 

最後におすすめのbotの紹介です。

 

Goatbots

MO経済を牛耳っているといっても過言ではないヤギです。僕がカードを買うときは基本的にGoatbotsです。
公式ホームページが素晴らしくて、Trending、Delivery、Collection Trackerなどもうこれ無しではMOできないくらいです。GoatbotsがMOから撤退したらMOは終わりかもしれません。

 

Cardhoarder

Goatbotsをもとに価格設定していると思われるbotの一つですが、このbotの面白いところは買値をGoatbotsの売値で決めているところです。例えばGoatbotsで売値30チケのカードはGoatbots買値27チケくらいですが、Cardhoarderでは買値29チケくらいだったりします。つまり、売る時はGoatよりここで売ったほうが得な場合があります。
Cardhoarderはもともとレンタルサービスをやっていた業者なので、在庫確保のためにこのような値付けになっているのだと思っていました。最近レンタルから撤退したのですが値付け設定は相変わらずで重宝しています。

https://www.cardhoarder.com/battle-of-tix

またしても英語で恐縮ですが、昔このbotは「トレードだけで誰が一番チケットを増やせるか?」という企画を主催していました。そのカバレッジが今読んでもとても面白いです。
勝った人は5か月で1000チケ増やしたようです。牛丼200杯ぶんです。