パウパーのコツ?

 

 十把一絡げに言えば、パウパーはたいして強くないコモンだけで戦う構築フォーマットであり、そのプレイ体験はかなり独特である。
 何ターンも小パンを撃ち合い続けて、先に疲れたほうが負けるというような地味なゲーム。実際のゲーム内容は構築というよりむしろリミテッドに近い。
 価格的な敷居が低いわりに特殊なプレイ感覚が必要なフォーマットだと思うので、僕が普段意識していることを思考整理もかねてご紹介。なお僕は別に上手いプレイヤーでもなんでもない。

 

 

◆仮想アドバンテージ

 いきなり造語。マジック25年の歴史を持ってしても、いざコモンだけでデッキを組もうとすると何らかの都合で弱いカード(後述)がデッキに入ってしまう。特に単色デッキなどはそれが顕著。
 相手だけが弱いカードを1枚腐らせている時、あなたはカード1枚ぶん得をしている状態にある。パウパーはこの状態が発生しやすいと思う。そして、1対多交換を取れるカードが少ないパウパーでは、このアドバンテージが重要になる時がある。(もちろんこれが全てというわけではない。)
 個人的に狙い目(狙われがち)だと思っている弱いカードが何種類かある。

 
《魔力の乱れ/Force Spike(7ED)》タイプ

 要するに限定的な場面でしか機能しないカード。例えば《魔力の乱れ》について言えば、1マナ浮かして行動し続けるかぎりあなたはカード1枚分得していることになる。
 一方で《魔力の乱れ》を使うデッキは《除外/Exclude(INV)》のような重いカードや、《蓄積した知識/Accumulated Knowledge(A25)》のようなロングゲームで旨味が増すカードを併用する場合が多く、いたずらに1マナ浮かせてゲームを長引かせればいいというわけではない。中盤戦に相手の手札の強さを勘案する際、1枚分弱く見積もってもいい時がある程度の話である。

 

《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary(GTC)》タイプ

 殴ることもブロックすることもできない状況にある、特に能力のない小型クリーチャー。例えばあなたの《尖塔のゴーレム/Spire Golem(DST)》が《炎樹族の使者》3体に対して睨みを利かせている時、あなたはカード3枚ぶん得をしている。
 このとき《ゴーレム》は《炎樹族の使者》を実際に除去したわけではないので、《ゴーレム》が破壊されたり《ゴーレム》で攻撃した瞬間、3枚ぶんの得は消えうせる。仮想アドバンテージを活かそうとするなら、ゲームプランの舵取りは重要である。

 

《森/Forest(M11)》タイプ

 ストンピィ・バーン・白単ヒロイックのように、4枚目以降の土地が基本的に何もしないデッキはまぁまぁ存在する。こうした相手が4枚目、5枚目の土地を引くたびに、そのぶんあなたは得をする。
 綱渡りのゲームでは、このアドバンテージを見込んでおくことで場合によっては細い勝ち筋をたどれたりする。例えば青単デルバーは(本来の意味での)アド源に乏しいが、こういう相手には《定業/Preordain(M11)》や《思案/Ponder(LRW)》で不要な《島/Island(M11)》を避けてるだけでカード差がついて勝てたりする。もちろん一生4枚目の土地を引かない都合の良い相手もいる。それは仕方ない。

 

 

◆いつか引いてくるサイドカー

 4ターンくらいで大勢が決まってしまう速いフォーマットではこんなこと言っていられないのだが、パウパーは10ターンも20ターンも平気で続くゲームなので「そのうち引いてくるっしょ」で1~2枚サイドインしたカードが存在感を発揮できる。トロンのようなサーチまみれのツールボックス系デッキでなくても1枚差しが十分強い。
 色々なカードを数枚ずつ採用すれば、予測しやすい単調さが消えてデッキに深みが増す。特にミッドレンジ系のデッキなど、サイドボーディングは75枚から60枚を組むシールドっぽいところがある。

 

青赤デルバーの《残響する真実/Echoing Truth(DST)》

 《リバー・ボア/River Boa(ZEN)》《蜘蛛糸の鎧/Spidersilk Armor(MMQ)》《ウラモグの破壊者/Ulamog's Crusher(ROE)》など、場に出してしまえばカラー的に触れないであろうパーマネントに実は触れる、というもの。75枚のうち1枚は入れて、気分でサイドインしたりしなかったり。特に青はドローが強いので、「あれを引けばなんとかなる」があるのと無いのでは大違い。

 

ボロスキティの《墓の刈り取り/Reaping the Graves(SCG)》

 もはや古いテクかもしれないけど一例として。ミッドレンジ同士のロングゲームで、いつか引いてきたときにうっかりゲームが決まったりする。個人的にパウパーらしさを感じる1枚。

 

とりあえず1枚《大祖始の遺産/Relic of Progenitus(ALA)》

 相手のデッキに墓地を使うカードが2~3枚しかないとしても、気分で1枚はサイドインしたりする。加減が難しいものの、だいたいゲームが長引くから「相手の2~3枚に対して1枚」という感覚は無駄にならない。

 脱線するが、「そのデッキが(もしくはもっと大きな目線でフォーマットが)何ターン目にゲームを終わらせるのか」という視点はなかなか興味深いものだと思う。

《開墾》と基本ターン

親和と基本ターン

2つのトロンと基本ターン

 15年以上前の記事だけど参考文献。パウパーは基本ターンが遅めのデッキが多いから、カード選択にだいぶ余裕がある。と思いきや、ストンピィやバーンが4ターン目にサクッと殺して来たりする。遅いデッキが多い環境で速いデッキが見た目以上に強いのは、この基本ターンの概念によるものだろう。

 

 

◆ティルトしたら止める

 爽快感がないドロドロとした試合が多いから、イライラしてるときは違うゲームやったほうがいい。これが結構難しい。